大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和25(れ)1974 判決

主 文

本件各上告を棄却する。

理 由

被告人Bの上告趣意一について。

本件公判請求書に引用の司法警察官事件送致書の記載されている事実と原判決理

由第二摘示の事実とを照らし合わせてみると、犯人の氏名、犯行の日時及び場所並

に被害者等すべて全然同じく、唯窃取した品目だけが、前者においては「女物羽織

其他衣類及砂糖等」と記載されているのに対して、後者においては「現金二万円及

び砂糖一貫五百匁、女物羽織等衣類九点」となつていてその間多少の相違あるに過

ぎない。それ故両者の基本的事実が同一であること明かである。そうして基本的事

実が同一性を失わない限り、原判決が起訴状にない現金二万円窃取の事実を認定し

たからとて、この点において違法はない。

次ぎに原判決は被告人の原審公廷における判示同趣旨の供述を証拠として採用し

ているので、原審公判調書を調べてみると、裁判長は、被告人が前記の日時及び場

所において衣類、砂糖等の外に現金二万円をも窃取した旨の記載ある第一審判決の

事実を読み聞かせて、「この事実はどうか」と問うたのに対して、被告人は「相違

ありません」と答えている。それ故に原判決は全く根拠のない事実を認定したもの

であるという所論の非難はあたらない。尤も記録を調べてみると、原判決が証拠と

して挙示しているA提出の盗難被害届書記載の被害品目中現金二万円については、

後に同人からこれを他の場所で発見した旨の届出があり、右の盗難被害届書もこの

点訂正されたものと認あられる形迹を存しているが、仮りに事実がそのとおりであ

つたとしても、これは四回に亘る窃盗行為中の一回における窃取品目の一部分の喰

い違いであつて、犯罪全体から観れば判決に影響を及ぼす程のものとは認あられな

いから、原判決を破棄する理由とはならない。論旨は採用できない。

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同二、三及び四について。

論旨は犯罪の情状、犯罪後の処置、改悛の情等について述べ、刑の執行猶予を願

うというのであるからいずれの点も適法な上告理由とならない。

被告人Cの弁護人河内守の上告趣意について。

論旨は結局量刑不当の主張に帰するから適法な上告理由とならない。

以上の理由により旧刑訴四四六条に従い、主文のとおり判決する。

この判決は裁判官全員一致の意見によるものである。

検察官 十藏寺宗雄関与

昭和二六年四月一七日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 長 谷 川 太 一 郎

裁判官 井 上 登

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

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